やすらぎ荘は、福岡県のほぼ中央にあたる山紫水明の夜須高原にあります。国民的俳優の故森繁久彌さんたちが提唱した「あゆみの箱」運動によって建てられ、1972年4月「障がい者の楽園」としてオープンし、今年で53年目にはいりました。「やすらぎ荘」は、ご家庭にいる心身障がい児(者)たちが通園で訓練をする施設です。
脳性まひ児の機能回復を目指す「動作法訓練」と発達障がい児(自閉症)の療育訓練を大きな柱として、この重点目標は現在も変わらず続けられ、創設の精神は貫かれています。
「寝たきりの子は座れるように座った子は立てるように立てる子は歩かせようそして最後には身の回りのことを自分で処理できるようにしよう」これが訓練にかける保護者や「やすらぎ荘」の願いです。
こうした訓練効果は、家庭で悩んでいる同じ境遇の母親たちが、お互いの苦しみを語り合い、励ましあって次第に表情も明るくなり、親自身も逞しくなっていく姿をみるにつけ、母親たちにとっても「やすらぎの場」となっていることが感じられます。
利用者を地域別にみると、北九州市、福岡市、久留米市など県内は勿論、北海道、福島県、石川県、兵庫県、広島県、大分県、佐賀県、長崎県、熊本県から1泊2日の療育訓練に参加されています。春休みや夏休みの1週間キャンプでは、北は北海道、南は沖縄まで文字通り全国から夜須高原に集ってこられます。心身障がい児(者)、小児糖尿病、肢体不自由児、ダウン症、言語障がい児なども集団療育で訪れ、年間の利用者は平均1万人にも達し、開館以来の総延人員は、45万人を突破いたしました。
福祉の時代いわれる中で今日、これを地域と社会に問いかけて実践していくことは簡単なことではありません。国からの補助がない「やすらぎ荘」をこれまで続けてこられたのは、多くの皆様の善意による温かいご支援にほかなりません。ご支援をいただいている各団体・グループ、企業、そして個人の皆様に心から御礼申し上げます。